榊巻亮著「世界で一番やさしい会議の教科書」を読んだ

はじめに

プロボノで、会議がうまく着地させられないな~うまくファシリテーションできないな~という悩みがあり、買って読んでみた。

世界で一番やさしい会議の教科書

世界で一番やさしい会議の教科書

作者:榊巻 亮

日経BP

生涯会議時間

本書は、新社会人の主人公が、コンサルタントの父親からレクチャーされるテクニックを実践しながら、何も決まらないグダグダな会議をカイゼンしていく、というストーリー仕立てとなっている。
生涯会議時間というのは、本書の冒頭でグダグダな会議に疲弊した主人公が概算した数字だが、3 万時間というのは結構インパクトのある数字だと思う。

グダグダな会議といえば、年始に e コマース大手の Shopify が会議はバグだと言い切り、ちょっとしたニュースになっていた。
私はトラディショナルな日本企業で働いているため、本書で描かれるグダグダな会議は「あるある」と思いながら読んでいたが、Shopify の件を考えると生産性の低い会議というのは、洋の東西を問わずビジネスパーソンの普遍的な悩みだと感じる。

3 万時間もかけるなら少しでも会議を良くしようぜ、というのが本書の主旨であり、とても共感するところだった。

隠れファシリテーション

グダグダな会議を変えるテクニックとして、本書の前半では隠れファシリテーションというテクニックが解説されている。
隠れファシリテーションは大まかに書くと以下の 4 つのポイントがある。
いずれも簡単に真似できるが、効果の高いテクニックだと感じた。

  • 「決まったこと」「やるべきこと」を確認する。
  • 会議の終了条件を確認する。
  • 議題ごとの時間配分を確認する。
  • 書く。

余談だが、本書を読んでいて私は、スクラムガイドの「完成の定義」という言葉を思い出した。
スクラムをきちんと学んだことは無いが、どういう状態をそのタスクが完了した状態と呼ぶのか、あらかじめチームで意識合わせをしておくものと認識している。
スクラムガイドでも本書でも、仕事が完了した状態を確認することについて書かれており、なんとなくで始めてしまう仕事が多いということなのだろうと感じた。

Prep する会議

本書の後半では Prep する会議というテクニックについて解説されている。
一般的な PREP 法1とは異なるため、筆者独自のフレームワークだと思われるが、こちらも隠れファシリテーション同様に実践的なテクニックだと感じた。

本書を読んでいて特に勉強になるなーと感じたのは、あらかじめ会議の流れをシュミレートし、参加者の状態や疑問・不満を書き出すというものだ。
私が会議を主催する時は、どういう流れで結論まで持っていくかなんとなく考えてはいたが、参加者の疑問・不満を想像できていなかったため、考えていた流れで会議を進行できなかったり、ズレた位置に議論が着地しまっていたのだと感じた。
しかし、参加者の持っている情報や所属する部署の利害などに思いを巡らせることで、どのような疑問・不満を持つのか予想することは可能だろう。
今後は参加者の疑問・不満まで想像するようにしたい。

おわりに

本書はタイトル通り、やさしく書かれた本だった。
やさしいと感じたのは、大仰なフレームワークなどではなく、本を読んだ次の日から使えるテクニックについて書かれている点だ。
誰でも簡単に真似でき、且つ効果的なテクニックについて書かれており、やさしくも実践的だと感じた。
グダグダな会議に苦しめられている方は、是非一度本書を手にとって読んでみて欲しい。


  1. 結論から話せ的なやつ ↩︎

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